結論から言ってしまうと、私は今作の方が好きです。だがしかし邦題、お前はダメだ。
ということで、公開初日に『アナと雪の女王2』を観てきました。TOHOシネマズのシネマイレージで貯まっていたポイント鑑賞なので、プレミアボックスシートで。そんなに好きじゃないと言いながらも、ディズニー映画の新作*1は技術面など、集中して観たいというヲタク心はあるのです。
ネタバレなしの雑感
まずは細かいところを掘らずに、思いついたことを思いついたままに。
- 「シュガーラッシュ」⇒「シュガーラッシュ2」に続く、邦題やっちまったな案件
- 「キングスマン2」と同じくらいに1作目を観た人たちが来てる大前提なのが◎
- 前作が腑に落ちなかった主な理由がストーリー展開にあったので、その点は満足
- 各地のディズニーリゾートやブロードウェイで1作目が舞台化されているからこそ、映像作品ならではの表現があるのが良い
- 1作目が微妙だった人こそ、短編と今作を観てみてほしい
- 「エレメンツ属性」の要素がある作品を通ったヲタクはきっと好き
- メイン楽曲の先行配信を見ないで劇場に足を運んで良かった
- 海外ディズニーリゾートでの姉妹グリを何故あの衣装にしたのか問題
ここから先は作品を構成する要素や物語の展開について触れていきますので、鑑賞前に事前情報を入れたくない方は、このままそっと戻るかタブを閉じて下さい。悪いことはいいません、今ならまだ引き返せますよ。
入り込めた理由を考えてみる
さて、ここからネタバレを含みます。まだ1回しか観ていない上、少し日が経ってしまったので、内容を間違えて理解していたり本編で述べられていることを見逃している可能性もあるかもしれませんが、よろしくお願いします。
まず、今回の続編は何が良かったって脚本が良かった!1作目が好きになれなかった最大の理由がストーリー、次がアナのキャラクターだったので、今作ではその辺りに感じていた不満が解消されたことによって大きな満足感を得られたと思っています。
1への不満は置いといて、2で好きだった部分を書き記していきましょうかね。
四大元素を持ち出されると弱い
好きでも好きじゃなくてもネタバレにはできるかぎり触れずに作品を感じたいタイプなので、予告編や楽曲のみの先行発表MVなどには一切触れずに公開日を迎えたのですが、まさかアナ雪2にヲタクの大好きな「四大元素」が入ってくるとは思ってもおらず!星座占いをちょっと好きな人は「〇のエレメンツ」という形で、ファンタジー小説やゲームなどが好きな人はモンスターの属性などで一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
アナ雪2の中では「火」「水」「風」「土」の4つの元素を象徴する精霊が登場し、これによって何ともファンタジー感が増しました。エレメンツ同士の相対関係とかについては特に述べられていなかったけど、そういった部分も想像して自分で楽しみを広げられるの、好きです。
両親の過去が語られる展開
1作目のストーリーは、まだエルサもアナもクリストフも幼かった時代から始まります。朝ドラ的に。アナ雪2でも彼らの幼少期から物語が展開しますが、すでに1を見た私たちにとって、その時の話は「過去のエピソード」という視点に移ります。
そんな中、かつて自分が体験を語るという形で2人の父親であるアグナルが自分の子供の頃の話を始めます。「親世代の過去」です。ハリポタでも黒執事でも大好きで、そして世間的にも人気があるやつです。それな。慣れ親しんだメインキャラクターの親がどんな子供時代を過ごしたのか、大抵のヲタクは好きなんですよね。これが世界共通なの、なかなか面白いなと思います。
バリエーション豊富な衣装デザイン
『アナと雪の女王』では王族の正装、冬山で過ごすための庶民の装い、エルサの覚醒によって生み出された氷のドレス、『アナと雪の女王 エルサのサプライズ』では王族とアレンデール王国の人々の夏の装い、『アナと雪の女王 家族の思い出』ではそれぞれの冬本番とクリスマスを迎える季節の装いと、かつてない種類の衣装デザインをこの世に誕生させてきたアナ雪の世界。
今作では、これまで登場しなかった「ノーサルドラ」という人々が登場します。具体的なバックボーンについては詳しく解説してくださっている記事を発見したのでこちらをご参照いただくとして。
このノーサルドラの登場により「作中で描かれる場所」の範囲が大きく広がりました。1作目でエルサが築いた氷の城も割と早い段階で通り過ぎましたしね。また、描かれている季節が「実りの秋」ということで、これまでとは違う季節感の素材がそれぞれの衣装に用いられるようになりました。
私にとって、長編CGアニメーションのスタートはトイ・ストーリーで、そこからモンスターズ・インクにおけるサリーのふさふさした体毛や、ファインディング・ニモにおける水中の描写など、技術が進むたびに本編とは直接関係しないまでも、まるで本物がそこにあるかのような表現が可能になっていく様子を見るのが一つの楽しみになっていました。
今作でもエルサはまたしても「覚醒」し、それまで身に着けていたものとは異なる新たな装いで登場します。一方でアナもカジュアルなものから王族らしさを最大限に引き出すものまで、様々な服を纏った姿を見せてくれるため、布ヲタは眼福です。あと、服じゃないですがスヴェンの角に生えてる産毛、最高。
ねつ造された歴史とミスリード
はい、これも何となくそんな気がして完全に予想が当たったやつだけど、想像が的中しても面白い!というのが大事だなと思いました。ズートピアはそこが物足りなかったので「すごく面白かった」ってならなかったんだよな…。
実際に起こったことではなく、国にとって都合の良い内容として歴史が語り継がれてしまうということや、アナとエルサがそれぞれの役割を果たしていこうというエンディングの展開には、エルサ役のイディナ・メンゼルのこともあって、どうしても「ウィキッド」のことを考えてしまいましたが、Twitter界隈でよくミュージカルを観ている人は同じように感じた人が多くいたようで、やはりというところ。この部分も今作に好印象を抱いた大きな理由になっている気がします。
思っていた以上に「設定」に弱いヲタクだった
こうして自分のツボを突いたポイントを振り返ってみると、ミュージカルであることとか、楽曲の良し悪しはあまり関係ないなというのをあらためて感じます。楽曲の深読みしてる人とか本当すごいと思う。私、自分が好きなアーティストの曲とかも耳専?なので、歌詞カードとか最初に1回読むか読まないかだし、曲名もなかなか覚えられないんですよね。吹奏楽というジャンルで自分でも演奏したり、その時はかなり本気になって音作りしてたけど、どちらかといえば歌詞より音で曲を聴くタイプなんだなぁ、という自己分析。
でも、映画を観た日から少し日を空けてサントラを聞いてみて面白いなと思ったのが、クリストフのソロ曲である「Lost in the Woods」。あれは楽曲だけだと全然成立しなくて、あの場面を描いている映像があって初めて完成するものだと個人的には捉えました。ちなみに日本語版で聴くと、サビがすごくテニプリのキャラソンっぽい。英語では感じなかったのに日本語になることで突然。あれは何なんだろう…。
Into the UnknownもLet it goより全然好きで、サビのメロディーはまだしばらく頭の中に残りそうな予感がしています。あと、この曲は1作目のあれに対応してるかな~と想像しながら聞くのも楽しかったです。
Frozen 2 | "Into The Unknown" Special Look
ベースになっているアンデルセンの童話『雪の女王』や、北欧に伝わる民話などについても勉強してから見ることで、また楽しみ方が広がる可能性がある、そんな作品でした。ネタバレなしの感想にも書いたように「これを観てる人は1作目を観てないわけがない」という前提で話が進むところも、非常に気持ちが良いですし。
HKDLでの日米公開前日に新たなコスチュームでのグリーティングが開始した時点で、何となく結末を想像してしまったという部分もありましたが、その先入観があっても楽しめたので、年内にあと1回は映画館に足を運んでみたいと思います。
*1:長編アニメーションの場合は特に