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世界のディズニーリゾートと風間俊介さんが大好きすぎて、2018年にJGC修行を決行。お気に入りのコスメや美味しいものについても語ります。イエベ春、骨格ウェーブ(プロ診断)です。

【松本公演】観賞から時間が経てば経つほど「マーキュリー・ファー」のことを考えてしまう

先週、世田谷パブリックシアター主催『マーキュリー・ファー』を観賞するため、松本へ行ってきました。吉沢亮と北村匠海の演技が生の舞台で繰り広げられるのを目撃できる機会なんて、このタイミングを逃したら一生来ないのではないか、ということで。

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東京公演は、先行発売も一般発売も公演期間も仕事のスケジュール上、抽選への挑戦すらできなかったのですが、松本公演の一般発売(まつもと市民芸術館枠)で現地在住の元同僚分も含めて日曜マチネのチケットが確保ができたので、土日の2日間で初の松本遠征へ。

激しくエネルギーを消耗する2時間15分

まず、観賞後の感情としては「疲労感がすごい」です。これは作品の世界観へ観客を引き込む力が強く、かつ作中で描かれている「世界」に生きる登場人物たちが置かれている状況が、あまりに極限的で緊張感があったからに他ならないわけですが…。

長野での公演は土曜ソワレと日曜マチネの2公演でしたが、東京や兵庫、愛知公演はマチソワの日もあるとのことで、この演目を1日に2公演も上演する日があると思うと、今後の観賞予定がないにも関わらず、勝手にしんどくなってしまう。そんな演目です。

初演上演時の情報から更なる深みへ

マチネでの観賞後は、松本駅方面へと向かう人の流れから離れて中町通り方面へ。ネタバレや個人的な感想を周りを気にせず話せる状態になったのを見計らって、観賞中に感じていたことや終演直後に抱いた感想を、共に同じ現場を目撃した元同僚と語ることで、第一の気持ちの整理を行いました。

その後、お土産を買ったり気になっていたカフェに入ったりの時点では、作品についてのことは頭の中から一度切り離すことができたのですが、帰りの新宿へと向かう中央線の車内で一人になった途端、もっと色々な人の解釈を聞いてみたくてたまらないという衝動に駆られまして。

気を張った演目だったから、帰りの電車ではゆっくり寝ようかな~とか考えていたはずだったのに…。演目名でのツイート検索だと、現場に入った報告やらチケットに関する内容が多く、私が欲する内容のものが見つからなかったため、あえて「マーキュリー・ファー 初演」をキーワードにWeb検索したところ、とても深みにハマる記事に出会うことができました。それがリンクを張っているエンタステージの記事です。

初演では高橋一生が兄・エリオット、瀬戸康史が弟・ダレンを演じたということは何となく把握していたのですが、東京公演の会場が「世田谷パブリックシアター」ではなく「シアタートラム」だったということに、最大の衝撃を受けました。

過去に2~3演目ほど観賞したことがありますが、三茶の一等地にキャパが250人もない、こんなに贅沢な空間があるなんて!という、とても小さな劇場です。私が観賞したまつもと市民芸術館では、4階席まである非常に大きなホールだったので、舞台上に生きる人々の姿を少し離れた所から見守るような距離感だったのですが、これをシアタートラムで見ていたら、おそらく「同じ部屋の中にいる」感覚で、より心の底に響く観劇体験になったんじゃないでしょうか。2022年版のエリオットである吉沢亮氏は、この初演を観ているとのことだったので、その空間を実際に感じた人が演じる主役、というのは非常に説得力を感じます。

作品が生まれた背景に思いを馳せると

演目としての初演は2005年のイギリス。2003年からのイラク戦争の爪痕が生々しく残る時期に書かれたとのこと。事前に予習をしていなかったこともあり(ネタバレありの記事じゃなければ、あらすじを読んでいても分からなかった気はするものの)、最初はエリオットとダレンの兄弟が存在しているのは、自分たちが生きている世界線と同じ「現実世界」だと思いながら見ていました。

物語が進むにつれて分かっていく状況から、私たちが存在している「現実世界」に近いものの、少し架空の設定が入っているのだなと気が付いていくものの、最終的に彼らを待ち受ける「世界の結末」については、必ずしも『私たちの現実世界ではない』とは言い切れないということに、観賞からの1週間のうちに自分たちが生きている「現実世界」で起きていることを目の当たりにした今、改めて感じるようになってしまいました。

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9.11の世界貿易センタービルの惨事を、ベッドに横になりながら聞いていたT.M.Revolutionのオールナイトニッポンの最中に速報で知ったことは、今でも忘れられない記憶の一つです。しかし、そよ一方でイラク戦争については現実にどのような状況だったのか、今のようにSNSから知ることもなかったため、日本のテレビ局によって中和された内容しか、把握できていなかったように感じている自分がいて。

2022年2月下旬から始まった、ロシアによるウクライナ侵攻を目の当たりにしている今、『マーキュリー・ファー』のストーリー展開を思い出そうとすると、色々な要素を重ね合わせてしまう部分があります。最終的な展開を把握した上で、もう一度ストーリーを最初から振り返りたいという気持ちと、あの演目をもう一度味わうのは苦しいものがあるな…という気持ちの両方がせめぎ合っていて、贅沢な悩みだなとも思っていたりもするわけですが。

この演目、チケットが入手困難な状況だったこともあってか、幸い3月にはPIA LIVE STREAMでの配信が予定されています。発売期間は3/13(日)12:00~3/26(土)19:00、配信期間は3/20(日)10:00~3/26(土)23:59、Cloakでの視聴URL引き取り後、5時間の視聴が可能になる形式とのこと。

誰でも楽しめるから観てほしい!というタイプのアプローチができる作品ではないのですが、2022年の地球に生きている中で実際に起こっている出来事を踏まえた上で、『マーキュリー・ファー』という作品の中で描かれている絶望的な世界について想いを馳せる体験は、他では得難い感情を抱かせてくれると思っています。

最後になりましたが、初演ではローラ役を『ベター・ハーフ』で何度もお世話になった中村中が演じていたと知り、そうなるとまた解釈がちょっと変わってくるんだけど?!とあれこれ思いを巡らせたことも記しておきたいと思います。公演時期を調べたら、マキュファ初演が終わってから1か月と経たないうちにベタハ初演だったみたいで、俳優さん本当すごい…と今さらながらその2演目が続いていたことに震えてます。ベタハのパンフに当時の稽古中の話、載ってたりしたかなぁ…。

以上、出演者の方々に関する評価はほぼ敬称略でお送りさせていただきました。上手く文章にできたとは思っていませんが、とにかく今作についてアウトプットをしておきたかったので、いつにも増して乱文な記事にお付き合いいただいた画面の向こうのあなたには感謝の気持ちで一杯です。