6/14(木)青山一丁目・草月ホールにて上演された、風間俊介さん・咲妃みゆさんペアの『ラヴ・レターズ』を観賞してきました。
LOVE LETTERS 28th Anniversary Special ~青井陽治追悼~ 風間俊介 & 咲妃みゆ
自分でお金を稼ぎ、希望するタイミングで休みを取ったり仕事を切り上げたりすることができるようになった2013年以降、演劇のお仕事には欠かさず足を運べていたのですが、今回ほどチケットを手に入れるまでが茨の道だったことはありません。
その話も本編の感想のあとに。
4年ぶりの草月ホール、そして朗読劇
草月ホールでの朗読劇は、2014年に開催された『坂元裕二朗読劇二〇一四』ぶり。この時は昼公演・夜公演がそれぞれ別の演目で、1日かぎりの2公演上演でした。
私の記憶が定かなら、昼夜通し券のようなものがあって、一般発売開始後にそれを購入したような。
この時のシナリオは2017年に書籍化しました。「不帰の初恋、海老名SA」と「カラシニコフ不倫海峡」の2本立てです。
「不帰の〜」は草月ホールでの公演翌月に、ウッディシアター中目黒という会場で『蝋燭朗読劇中目黒』という形での公演もありました。まさかの自由席。なのに、まさかの5分前到着。そして、まさかまさかの前から2列目下手側に、ぽっかりと一人分の空席という奇跡的すぎるシチュエーション。
朗読劇「蝋燭朗読中目黒」 | グリーンベックスキャンドル|キャンドルアーティスト マサ
当時の会場の様子、キャンドルアーティストの方のブログに掲載されていました。歴代の箱の中でも小さな小さなキャパだった会場。下手したら、私が当時応援していた若手俳優さんのイベントよりもこじんまりした箱だったんじゃなかろうか。
そんな印象深い演目以来、3作品目の朗読劇が今回の『ラヴ・レターズ』でした。
「あらすじ」を読んで
アンドリュー・メイクピース・ラッド三世と、メリッサ・ガードナーは裕福な家庭に生まれ育った典型的WASP (ホワイト アングロ サクソン プロテスタント‥‥‥‥アメリカのエリート人種)である。
幼馴染みの二人は対照的な性格だ。 自由奔放で、束縛を嫌う芸術家肌のメリッサ。穏やかで、内省的、口よりも文章で自分を表現するのが得意なアンディー。 アンディーは自分の感じること、彼女についての自分の意見などを折にふれてメリッサに伝える。メリッサは手紙よりも電話の方が楽で好きだ。 しかし、電話で思ったようにコミュニケーションできないアンディーの手紙にはつきあわざるを得ない。
思春期を迎え、それぞれ別の寄宿学校に送られて過ごす二人。会えるのは休みで親元に戻った時だけである。 伝統的な暖かい家庭に守られているアンディー。一方、メリッサはアンディーより裕福だが、離婚と結婚を繰り返す母親のもとで孤独な思いを噛み締めている。
恋に目覚める季節、お互いを異性として充分意識する二人だが、どういう訳かぎごちなく気持ちは行き違い、しびれをきらしたメリッサは他の男の子とつきあってみたりする。そして、遂に決定的に結ばれるチャンスが巡ってきた夜、二人は友達以上にはなれない自分達を発見する。
大学を出た二人はいよいよ全く別の道を歩き始める…。
出演決定のお知らせを聞いて、最初に感じたのは「ついに、あのラヴ・レターズに…」というのと「洋物、久しぶりだな」ということ。*1
詳しいストーリーは当日の展開が楽しみなこともあって、特に予習などはせずに足を運びました。本編で「ダンスの誘い」についての話題がたびたび挙がっていて、アメリカでダンスパーティーと言われると、ついつい『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の「魅惑の深海ダンスパーティー」を連想しちゃうんですが、年代的にはどうなんでしょう。
(会場で販売していたパンフレット、開演まであまり時間がない中で到着だったこともあって詳細がよく分からずに別刷りのリーフレットだけ購入したので、そちらに書いてあったりするんでしょうか…)
公演を終えて
2人のビジュアルなどについては他にもレポートして下さっている方がたくさんいたので、詳細は割愛しますが、15分間の休憩(お手洗いへの案内が回らなかったのか体感ではかなり延長されていた印象)を挟んで再びステージに戻ってきた際に衣装に変化があったことには驚きました。
前回の坂本裕二さんの朗読劇は、登場する男女のやり取りがメールだったり、手紙だったりと場面によって変化がありましたが、ラヴ・レターズでやり取りされるのは、ただひたすら郵送で送られあう「手紙」の文面。
舞台上に置かれた2脚の椅子にそれぞれが掛け、2人の手紙の内容が記されているであろう冊子を手に持った男女が、その内容を声にして発した瞬間から、物語は始まります。
最初は手紙のやり取りから2人の関係性や距離感を汲み取ることに一生懸命になっていましたが、気がつくといつの間にか「これは便箋にびっしり綴られているんだな」とか「市販のカードに手書きの一言が添えられているなのかな」とか「大量印刷されて大勢の人へ宛てられたのかな」といったように、今読み上げている1通がどんな形で相手のもとに届いたんだろうという想像を膨らませている自分がそこに。
そして、気が付いたころには『ラヴ・レターズという戯曲を読む風間俊介と咲妃みゆ』ではなく、『自身が書いた手紙を読み上げるアンディとメリッサ』が舞台上にいました。2幕はそれが特に顕著で、ページをめくる様子や椅子の座り方などから、年齢を重ねて人間として成熟していく2人の男女像が徐々に具体的になってきたように思えたのです。
送り先がメリッサであることが明確な手紙と、大勢に宛てた中の一人がメリッサだった手紙とでは、そこに込められた思いやペンを走らせている最中の気持ちはまるで違うもの。
読み上げられていく手紙の文面から、その内なる部分を感じることができたのは、他ならぬ読み手の2人が作り上げた世界が見えたからこそ、だと思いました。
子供~青年時代は自分や家族が思うような生活ではなかったかもしれませんが、年を重ねるにつれて周囲の人が自分の近くに集まるような存在になっていくアンディ。
手紙を書くことが好きで、文章を綴ることで自分の思っていることを相手に伝えることを大切にしてきた、そんな彼の感情が思わずあふれ出す2幕の後半では、ストーリーの展開そのものよりも、ホール中の人たちの心を震わせてくる空気が会場を包んでいるに涙が滲んでいました。
現実に戻るまで
今回の『ラヴ・レターズ』は、終演して、準備が間に合っていなかった手紙をロビーで書いて、プレゼントボックスにその封筒を入れて、会場を出て、最寄り駅ではなく赤坂方面まで歩いて、一人で落ち着いて飲めそうなお店を探して(結局見つけられず)、最寄り駅へと向かういつもの路線に乗っても、まだまだ劇場で感じた空気が私の周りを包んでいました。
今日のラヴ・レターズをアウトプットするには、まだ時間がかかりそう。もういつもの電車に乗ってるけど、余韻に包まれてるから普段とは違う感覚が続いてる。
— にあぽん@JGC回数修行 50/50 (@imagicaln) June 14, 2018
以前、地球ゴージャスの『クザリアーナの翼』という作品を観賞した後、しばらく席を立てなかったことがあるのですが、その時の感覚にとても近い[衝撃]のようなものが後を引いていて、感想をうまく言葉にすることができず。
家に帰って、お風呂に入って、部屋着に着替えて…という毎日のルーティーンに乗り始めて、ようやく普段の世界に帰ってこれたような、久しぶりの感覚を体感した公演でした。
「風間俊介」出演作品のチケット購入について
所属する事務所の有料のファンクラブがなく、誰でも無料で登録可能な情報メールサービスか各プレイガイドでの抽選または先着販売が事前にチケットを確保する手段だった今回の公演。
大河ドラマや各種バラエティ番組などの出演で、世間に認知されるシーンが朝ドラ出演時以上に増えている2018年。たった1日、1回きりで座席の数も多いとは言えない会場なので、チケットを取ることが簡単ではないだろうという覚悟はしていたつもりでしたが、自分で想定していた以上に各種先行や一般販売ではご縁がなく…。
普段、RTすることはあっても自分で書いたことはなかった「譲渡募集」のツイート。ありがたいことに多くの方の目に触れ、幸いにもチケットをお譲りいただける方からご連絡を頂戴しました。
拡散希望【求】6/14(木)18:30『ラヴ・レターズ』券種は問いません。1〜2枚希望です。ジャニーズJr.黄金期から風間俊介さんのファンです。ここ5〜6年の演劇作品には欠かさず足を運んでいますが先行抽選でも一般でもチケットを取ることができませんでした。俳優としての彼の仕事を応援させて下さい。
— にあぽん (@imagicaln) May 20, 2018
ディズニーがきっかけのフォロワーさんにも風間俊介という人を応援していることを知ってもらっていたことがとても大きかったのですが、印象的だったのはRTして下さっている方の中にご自身もかざぽんを応援している方が何人もいらっしゃったこと。
そして、他ならぬチケットをお譲りいただくことになったご本人様も…。
今回、私がこの公演に足を運ぶことができたのには、沢山の方の優しさと思いやりがあったからこそでした。本人に宛てた手紙も、大半がこの話になってしまったのですが(バースデーカードだったのにほとんど触れないまま書ききってしまった)、そんな経緯もあってこの日の公演は私にとって忘れられないになりました。
誰でも申し込みができるという仕組みであったが故に、別の演目と交換するための材料にされている*2ツイートを見かけてしまったことはとても悲しく、悔しくもありました。
事務所が関わるチケット販売が一切行われないパターンもあるので何とも言えませんが、今後も事務所が主導してチケットを取り扱うことがあるのであれば、本当に公演に足を運びたいと思う人だけが申し込めるように、会費をしっかり取るような形が実現すればいいなぁと願っています。
結びに
6月17日に35歳の誕生日を迎える、風間俊介さん。少し早いけど、お誕生日おめでとう。
俳優として、様々な人の人生を全力で生きる、あなたの姿が大好きな、いちファンより。
秘めたるバラエティー力を発揮してる時も、アスリートや障がいを持つ方と真摯に向き合う姿も、優等生すぎる食レポも、完全なる個人の趣味としてディズニーへの熱い思いを世間に発信しているのも風間俊介という一人の人。けどやっぱり「役として存在する人物の一生を生きている」姿が一番好きなんだ。
— にあぽん@JGC回数修行 50/50 (@imagicaln) June 14, 2018
愛を込めて。