2019年8月から10月にかけて観賞してきた『最貧戦線』について振り返るシリーズの後編です。
今回はブログの中で個別レポができなかった、神戸公演と大和公演について思い出してみたいと思います。
2019年10月19日 神戸公演
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
座席:1桁台後半 中央ブロック下手寄り
チケット入手方法:劇場公式インターネットチケット予約システム
オペラの上演が可能な大ホール、室内楽やジャズなどに適したクラシックな小ホールと全部で3つのホールを抱える、県立芸術文化センター。
最寄駅である西宮北口駅からは連絡通路で繋がっており、雨が降っていても濡れずにアクセスできる利便性でした。『最貧前線』で訪れたホールの中でも最も駅からのアクセスが良かったです。
この日は日帰り遠征のため、観賞前後に観光を挟みましたがそれについては別記事にて。公演後は生田神社にも行ってきました。完全に名前で選んだFour Tops担です。
前半に立ち寄った場所で購入したものなどもあったので、ホール内のロッカーを活用させていただきました。
さて、それはさておき公演本編。ここまで来るともう今回と大千秋楽しか吉祥丸のみんなに会える機会がないのだなという寂しい気持ちが募ってきます。
回を重ねるごとに、それぞれの乗組員の人となりが見えるようになってきた部分もあり、今回も見習い(前田旺志郎さん)と通信長(溝端淳平さん)にやられる。
肝心の自担ですが、1幕からまだちょっと喉の調子が怪しいなぁという感じだったのが、2幕の冒頭で明らかにガサガサしていて心配が増す。
しかし、南方の海に出て実戦となった時に、これまでとは違う状況に狼狽える漁師たちに無駄のない適格な指示を次々と出している時に、その少ししゃがれた声が「声を張ってその場の人間たちに伝えようとしている」というリアルさに繋がっていて、これまでよりも臨場感のある場面になっていたように思いました。ただ、無理はせずにご自愛いただきたいという気持ちは変わらずですよ…。
阪急中ホールは他のホールと比べて傾斜し始める列が早いため、列番号が若い割には演者がステージに立った時の視線の高さと、自分の視線の高さが同じくらいだったのも面白かったです。吉祥丸の船長である内野聖陽さんが最後に25ミリ機銃を撃ち放つ渾身のシーンでは、内野さんの両目が(◎◎)みたいな、色々な感情を飛び越えた先にある「無心」のような状態になっていたのが特に印象的でした。これまでもそうだったのか、どこかのタイミングからそのような表情になったのか。
本編には全く関係ないのですが、2幕の開演時には確かに両耳に付けていたイヤリングのうち、片方をなくしてしまったのが非常にショックでした。結構なお値段だったこともあって、うっ…。
2019年10月27日 大和公演
会場:大和市文化創造拠点 シリウス(1階芸術文化ホールメインホール)
座席:1桁台後半 中央ブロック下手寄り
チケット入手方法:ジャニーズジュニア情報局
オーラスは大和公演。初めて降りた大和駅ですが、横浜から1本なので思っていたより遠くなかったな。この日は、あさちゃん&かざぽんの出演番組をかなりチェックして下さっているという、あさちゃんのお母様と一緒に3人で入りました。
この外観写真を撮っている時に、ちょうど待ち合わせの約束もしてなかったのに遭遇するという、相変わらずの奇跡っぷりを発揮していた私たちです。
さて、2か月間に亘る吉祥丸の船旅も今日が最終日。この日が初見の人、何度も足を運んだリピーターの人、出演者・スタッフ、全ての人にとって最後の一公演。
これが通算で7回目の観賞ともなると、次に誰がどんな台詞を言うのか、ステージ上をどう動くのかというのもしっかり頭に入っています。
そんな中、最終日に思わぬアドリブが入ったのが初訓練後の腕立て伏せシーン。腕立ての数を数えているのは上村か小野田のどちらかの水平だったかと思うのですが、10まで数えたと思ったら、また「1・2…」ってカウントし始めたw これは砲術長が笛を吹き続けたからなのかな?
割と序盤だし、おじさんたち体力消耗しちゃうんじゃないかと少し心配になりましたが最終日にしてようやく入れられたという感じだったのかと思うと口元が緩みます。
そして、アドリブといえば…の無線室での手紙添削シーン。最後の最後ということで、無線士さんやりたい放題w 東京公演の楽から入った「お毛伝い⇒毛にはうるさいからな」というやり取りの他、見習いに「お前、もう毛は生えたのか?」と聞いたり、缶詰は宗教上の理由で食べられない*1とか、最後は通信長に対して「あっ!艇長!バカが見る~」をやらかしてました。よくやったなw
と、こんな楽しそうなアドリブも沢山ありましたが、やはり何度でも同じシーンで胸が熱くなるのは今回も変わらず。最後ということもあって、冒頭から「見習い」という吉祥丸に乗る最も若い人間のことを、周囲はどのように見ているのかという点に注目してみたのですが、あの堅物・大塚艇長はまず最初に「こいつも乗るのか?」と聞いているんですよね。
恐らく、あの時点で軍人たちにとって漁師が監視艇に同乗するということは、特に意味もなく、どうせ使い物にならないぐらいの考えだったのではないかと思うのですが、あの時そういうことを聞いたのは「こんな年端もいかない少年が学校へも通わずに漁船に乗っているのか?」ということだったように思います。
そして、働き者で心優しい見習いのことを海軍側の人間たちも、みんな少しずつ見方が変わってくる。だからこそ、2幕で南方の最前線に向かう前に理由を付けて吉祥丸から見習いを下ろし、またその意図を分からずに密航して、海の最前線に向かう運命を自分自身で選んでしまったことに対して、大人たちは目を合わせることができなくなってしまう。そういった、台詞にはなっていない登場人物たちの間に流れている空気が、この作品におけるリアルさを造り上げているうちの一つではないかと感じました。
大千秋楽のカーテンコール
2か月間の公演が全て終わって、2回目くらいからスタオベがスタートしていた今回のカーテンコール。3回目くらいで内野さんきっかけのスペシャルカーテンコールが始まりました。
通常は男性だけの出演者11名が並ぶステージ上ですが、この日は客席から演出の一色さんと脚本の井上さんが呼び出され(旺志郎くんがエスコート役に任命されていました)て、それぞれ一言ずつ。一色さんは地声でお話されていたのですが、その時にかざぽんがいつの間にか自分のヘッドセットを外しており、おや?と。どうしたのかなと思ったら、次にお話する一色さんのすぐ隣に立って、そこで自分のマイクを通してお話をしてもらうために、一度外していたようでした。なんという絵に描いたような「臨機応変」なんだ!そういう思いがけない突然の出来事にも平然と対処するジャニーズ感、ずるいがすぎるぜ;;
どんなことを話していたのかというのは、公演直後に詳しいレポを書いていた方々が複数いらっしゃったので、あまり大したことを書けないのですが、順番としては溝端くん⇒旺志郎くん⇒ベンガルさん⇒かざぽん⇒内野さんという流れでした。
カテコが始まった時からめちゃくちゃ泣いていた旺志郎くん、溝端くんから「まだ(内野さんとかざぽんが2人で演じている)芝居が終わってないので、舞台袖で号泣しちゃってて大変だった」みたいなことを関西弁で暴露しておりました。漁師たちは東北訛りで海軍たちは標準語なので忘れていたけど、そういえば2人共バリバリなんだよなぁ。そんな旺志郎くん、今作が初めての舞台出演だったとのことで、会場からは驚きのどよめきが。漫才を披露するためにステージに立ったり、ドラマなどで演技の経験を積んできているからか、そんなことを微塵も感じさせない圧巻の演技でした。
劇中での展開と繋がるところがあるけど、周りのお兄さんたちに支えられながら大きな成長を感じられた作品になったんじゃないかな。個人的に全期間を通してのMVPは旺志郎くんに進呈したいです。あの純朴なフレッシュさと、そこから少しずつ大人になっていく経過というのは、今のあれぐらいの年代だからこそ生まれるものだと思うので、良いものを見せてもらえて嬉しいかぎりです。
かざぽんは何だったっけな~?←すっとぼけ
とりあえず「本当に本当に本当にありがとうございました」って言っていたのが印象的すぎてな。あとは「この物語は帰っていく話で、この後は皆さんも僕たちも日常に帰っていく。その中に今こうして過ごした時間のことを一緒に持ち帰ってもらえたら」みたいな感じだったと思いますが超ニュアンスなので、詳しいことは他の方のレポートを調べてみて下さい。その時はかなり同調しながら聞いてたはずなんだけど、胸いっぱいすぎてあんまり覚えていられなかったという事実。
最後は再び内野さん。本編ではずーっと東北訛りで少し猫背気味なので、普通に立ってて標準語でお話されているという姿に違和感!けど、それだけ観客にとっては演じている役柄として目の前に立っている認識が強いということなんだよね。そんなギャップも感じながらも、作品の根幹にある命の大切さや仲間との絆、平和への思いなどをストレートに伝えられる演目だった、そんな内容のことをお話しされていたかと思います。
2か月間を振り返って
どの公演でも共通していたのが、終演後のロビーは沢山の人の笑顔と興奮で溢れかえっていたこと。パンフレットが完売してしまっていた兵庫公演以外では、多くの方が終演後に物販コーナーで足を止めている姿も見受けられました。
公演スケジュールが発表された当初は、どうして神奈川から始まって神奈川で終わるんだろう?(しかも別の会場)と思っていたけれども、これについては吉祥丸が激闘を終えて、全員が揃って帰れることになった時の「目標、横浜!」があるからこそなのかな?と感じました。自担がどうだった、こうだったというよりも、出演してくれていたおかげで、素晴らしい作品に出会わせてくれて本当にありがとう、という気持ちが強く残る2か月間でした。
2ヶ月間におよぶ長い航海の終着地。これまでに観た様々なジャンルのステージの中でも3本の指に入る、琴線に響く演目でした。命の大切さ、生きることの意味、平和な時代を過ごしている有り難み。一つ一つ噛み締めながら明日からの日々を過ごしたいと思います。本当にありがとうございました。 #最貧前線 pic.twitter.com/vrTKMTGdpV
— にあぽん (@imagicaln) October 27, 2019
めちゃくちゃ言葉選んで1ツイートにまとめると、こんな感じ。誰か一人が良いから名作とかじゃなく、キャストもスタッフも一丸となって同じ方向に向かっていることが作品を通して伝わってくるからこそ、後世に残ってほしい演目だなと感じる舞台でした。
台風の影響で東京公演が休演になってしまったことは非常に残念でしたし、その時に行けるはずだったのに行けなくなってしまった方や劇場に足を運ぶことができなかった方々のためにも、どうにか映像化してもらいたいと思っているのですが、どこかでビデオカメラが入った日はあったのでしょうか…。アンケートに何度も書いてはいたんだけど、毎日のように「最貧前線」でTwitterを検索していたかぎりは撮影情報は入っていないんだよなぁ。
もし再演される機会があるとしたら、キャストは全く同じか総入れ替え、もしくは若手キャストが今回より上の年代の役柄を演じる、みたいな形式がいいなぁ。何人かだけ違うとかだと「初演の時は…」と絶対に比べてしまって素直に見られないので…。
今回は東日本を中心に様々な地方で公演が行われ、そのおかげで各地の美味しいお店に巡り合えたりもしたので、そういう意味でも思い出深い演目だった『最貧前線』。
長野で行ったお店も、まだ長野駅近くで入ったお蕎麦屋さんの話しかできていないので、次の日に元同僚に連れて行ってもらった戸隠のお蕎麦屋さんやからくり忍者屋敷の話も年内に振り返りができたらいいなと思っています。(一部の方々にしか需要がないかもしれませんが)お楽しみに~!
今年は文化の日の振替休日が最後の月曜祝日だったので、もしかしてもしかすると、もう年内に生かざぽんを拝める機会が訪れないかもしれないのですが、まだこれから民法のドラマにバラエティに2020年の大河ドラマに…とテレビの中で出会えるチャンスがたくさんありそうなので、HDDの容量と戦いながら今後の様子を見守り続けたいと思います。
*1:ヒンドゥー教と言っていた